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年金制度の現状と課題【解説】

第3号被保険者の費用負担

前回(「基礎年金と第3号被保険者の登場」)、第3号被保険者とは、厚生年金保険に加入する夫を持つ専業主婦が、自ら保険料を負担せずとも、基礎年金の受給権を得られる仕組みであると紹介しました。

では、その費用は誰がどのように負担しているのでしょうか。
厚生年金保険の保険料40兆円は、国の年金特別会計厚生年金勘定に入金されます(図表1)。同勘定には、国の一般会計から国庫負担10兆円も移転されます。なお、年金財政の大まかな構造を把握することが目的なので、図表1では、金額は2023年度の実績をもとにしつつデフォルメしています。同勘定から、報酬比例年金30兆円が給付され、基礎年金拠出金20兆円が年金特別会計基礎年金勘定に移転されます。報酬比例年金は、2025年度の標準額は月9.4万円です。

国民年金の保険料1.5兆円は、年金特別会計国民年金勘定に入金されます。同勘定には、国の一般会計から国庫負担1.5兆円も移転されます。これら計3兆円は、そのまま基礎年金拠出金に充てられます。こうして基礎年金勘定に集められた計23兆円が、満額であれば月6.9万円の基礎年金として給付されます。

厚生年金保険、国民年金それぞれが負担する基礎年金拠出金は、頭数に応じて算出されます(図表2)。なお、図表2では、2023年度の実績値そのものを使っています。その頭数を拠出金算定対象者と言います。厚生年金保険の場合、第2号被保険者すなわち実際に厚生年金保険料を支払っている人4,081万人に第3号被保険者699万人を加えた4,779万人が拠出金算定対象者です。

国民年金の場合、実際の第1号被保険者自体は1,371万人いるのですが、拠出金算定対象者は、そこから保険料免除者や未納者などが除かれているので、660万人でしかありません。これら拠出金算定対象者に共通の単価37,697万円を掛けることで基礎年金拠出金が算出されます。

すなわち、第3号被保険者にかかる基礎年金拠出金は、第2号4,081万人全員で負担していることになります。4,081万人は、夫と専業主婦の妻からなる世帯だけでなく、単身世帯、共働き世帯によって構成されています。

2025年の通常国会で成立した年金制度改正法 では、「将来の基礎年金の給付水準の底上げ」が注目を浴びました。底上げは、簡単にいえば、基礎年金拠出金の算出方法の修正を通じて実現を図ろうとするものです。もっとも、わが国の基礎年金が、基礎年金拠出金という財政調整によって成り立っているに過ぎないことが周知されたうえで、その妥当性がまずは問われるべきであったといえましょう。

1. 年金制度改正法が成立しました|厚生労働省


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