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年金制度の現状と課題【解説】

わが国の年金が備える3つのリスク

公的年金も、厚生年金保険と名がつくように「保険」の一種であり、リスクに備える制度として創設されました。リスクとは次の3つです。

第一は、老齢リスクです。年金制度においては、一定の年齢(65歳)に達することをリスクと見なしています。もちろん、健康で長生きすることを「リスク」と呼ぶことに違和感を覚える人も多いでしょう。また、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となった今日、65歳に達したからといって、それが一律リスクであるとは必ずしも言えません。平均余命も健康寿命も大幅に伸びています。そのような意味では「老齢リスク」は適切な言葉ではないかもしれませんが、65歳という年齢の妥当性はともかく、高齢で働けなくなった際の生活費確保は必須です。自分が何歳まで生きるのか正確な予測は困難であり、貯蓄が底をついてしまった途端、生活が出来なくなるのでは困ります。そこで、年金制度で老齢リスクに備える必要性は高いと言えましょう。

第二のリスクは、一家の働き手を失うリスク(遺族になるリスク)です。年金の加入者が亡くなった際、残された家族に支給されるのが「遺族年金」です。厚生年金保険加入者の夫が亡くなった場合、夫の報酬比例部分の4分の3が給付されます。厚生年金保険の給付費総額25.8兆円のうち遺族年金は5.7兆円で受給者は約581万人です(図表)。厚生年金保険の遺族年金は比較的手厚いと言えるでしょう。他方、国民年金制度加入者の夫が亡くなった場合、18歳以下の子どもがいることが遺族基礎年金の受給条件となっており 、対象者数は限られます。実際、遺族基礎年金の受給者は約9万人、総額0.1兆円に過ぎません。夫婦ともに基礎年金で生活しているケースでは、どちらかが亡くなると年金受給額が半分になるため、高齢者の貧困の原因になっています。

第三のリスクは障害を負うリスクです。そのリスクは常にあります。若くして事故や病気で障害年金を受給し始めるケースもあり、障害基礎年金に関しては加入期間の長さに関係なく受給する権利があります。障害年金の給付規模は、障害厚生年金の給付総額は0.4兆円で受給者数は約52万人です。障害基礎年金の給付総額は約1.9兆円で受給者数は約218万人です。なお、障害年金は働いていても受給できます。

このように、とかく年金といいますと老齢年金ばかりがイメージされがちですが、人生におけ「終身総合保険」のような性格を持っています。そうした認識のもと、遺族基礎年金の受給要件にみられるように、仕組みが果たして現状のままでよいのか、点検し改善に取り組んでいかねばなりません。

※子どもがいるとは、正確には子どもが18歳になった年度の3月31日まで。


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