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年金制度の現状と課題【解説】

年金制度は「2階建て」ではない

年金制度を真に理解するためには、日ごろ私たちが受けている説明をいったん疑ってかかる必要があります。例えば、厚生労働省はしばしば下記のようなマンガを用いて年金制度を説明します。分かりやすく説明しようとする意欲は評価されるべきでしょう。しかし、国民の理解の深化という目的が達成されているかといえば甚だ疑問です。

第一に、「2階建て」という説明です。厚労省は、「国民年金と厚生年金の2階建てになっている」としたうえで「厚生年金に加入している人は、同時に国民年金にも加入している」と説明します。しかし、これは腑に落ちません。

わたしたちが実際に加入する制度は、厚生年金保険か国民年金のいずれかです(なお、正確を期すために厚生年金保険と表記します)。実際、厚生年金保険加入者は、厚生年金保険料として18.3%(労使折半)を負担していますが、その内訳として国民年金保険料(現在月17,510円)が示されている訳でありません。

第二に、「第3号被保険者」の仕組みと厚労省の説明の妥当性です。マンガのなかで「専業主婦(夫)など(会社員などの配偶者)」とあるのが第3号被保険者です。第3号被保険者とは、サラリーマン(厚生年金保険加入者)の配偶者で、収入などが一定要件を下回る20歳以上60歳未満の人を指します。配偶者が厚生年金保険に加入しているというだけで、社会保険料を負担しなくても基礎年金を受け取ることができます。「第3号被保険者は国民年金制度に加入している」と説明されますが、それは日本年金機構における書類上の話に過ぎません。

わが国の年金制度は「社会保険方式」を建て前としています。本来、社会保険方式のもとでは、社会保険料を支払い、その対価として給付を受けます。1950年、政府の社会保障制度審議会は、『社会保障制度に関する勧告』 において次のように述べています。「社会保障の中心をなすものは自らをしてそれに必要な経費を拠出せしめるところの社会保険制度でなければならない」。ここでは、自立的な個人が想定されています。

「しかし、第3号被保険者は自ら必要な経費を拠出せずとも基礎年金を受け取ることができ、社会保険方式の原則に反しています。その財源は誰かが負担しなくてはなりませんが、第3号被保険者のそれは他の第2号被保険者全員が負担しています。第3号被保険者の給付財源は、未婚の人や共働き家庭の第2号被保険者も負担していることになり、公平性の点でも問題があります。

第三に、国民年金(基礎年金)という曖昧な表記です。一見すると、基礎年金とは国民年金の単なる別称のようです。でも、そうであるならば、なぜ表記を統一しないのかという疑問が次に沸いてきます。実際には、国民年金とは加入する際の制度の名称であり、基礎年金とは厚生年金保険と国民年金いずれの制度に加入していても受けることのできる給付の名称であり、国民年金と基礎年金は同じものではありません。国民年金保険料は存在しますが、基礎年金保険料は存在しません。基礎年金は存在しますが、国民年金給付は、過去の制度改正の名残を除き、存在しません。国民年金(基礎年金)という表記はミスリードといえましょう。


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