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年金制度の現状と課題【解説】

2004年改正(2)2004年改正の3つのポイント

2004年改正の主眼は年金財政の維持でした。ポイントは3つあります。

1つは、保険料の段階的引き上げと2017年度以降の固定の法定化です。厚生年金保険料率は改正前の13.58%から毎年0.354%ずつ引き上げ、2017年に18.3%となったところで固定されることとなりました(図表)*1。国民年金保険料も、改正前の13,300円から段階的に引き上げられ2017年度に16,900円(2004年度価格)となったところで固定されることとなりました。

ミソは「法定化」と「固定」です。まず法定化です。2004年改正前まで、保険料はおおむね5年に1度、法改正によって引き上げられていました。もっとも、国民の負担増となる話ですから決して容易ではなく、実際、2000年改正の際、保険料の引き上げが必要と判断されながらも見送られてしまいました*2。そこで、2004年改正では法定化すなわち政治状況に左右されず保険料を引き上げると決めたのです。次に固定です。際限のない保険料の引き上げは打ち止めにし、年金財政維持の必要があれば、給付を調整することにしました。

2つめは、基礎年金拠出金 に対する国庫負担割合の3分の1から2分の1への引き上げです。これにより、厚生年金保険料率は最終的に26.2%が必要となるところ23.1%にとどめられるとの試算が示されていました 。なお、この数値は給付水準の維持を前提にしていています。3分の1から2分の1への引き上げに要するおよそ2.5兆円については、追って税制改正を行い賄われるということだけが決められました。その後、国庫負担割合自体は2009年度までに2分の1へ引き上げられましたが、財源手当てがようやく完了したのは消費税率が5%から8%に引き上げられた2014年度でした 。2004年改正から10年を要したことになります。

3つめは、給付水準の引き下げです。国庫負担割合の2分の1への引き上げに加え、給付水準の引き下げによって、最終的な保険料は厚生年金保険料でいえば前掲の18.3%に抑えられるという試算が厚生労働省から示されました 。引き下げのための仕組みとして厚生労働省から提案されたのがマクロ経済スライドです。マクロ経済スライドについては次回以降詳しくお話しします。

このように、厚生年金保険料率でいえば、何も手を打たなければ26.2%にまで上昇していたであろうものが2004年改正および消費税率引き上げなどによって18.3%へと約10%抑えられたことになります。現在、社会保険料の引き下げが重要な政策課題として多方面から唱えられていますが、消費税率を引き上げ、かつ、給付水準を抑えてその実現を図ろうとした2004年改正は多くの示唆を含んでいるといえましょう。

*1 厚生労働省年金財政ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/zaisei/
*2 西沢和彦「平成を振り返る:年金政策~年金財政の持続性確保はじめ令和に多くの課題~」2019年4月16日 日本総研Viewpoint https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/viewpoint/pdf/11051.pdf
*3 基礎年金拠出金については、第3号被保険者の費用負担 | 超党派年金制度改革データベースを参照。
*4 厚生労働省第19回社会保障審議会年金部会(2003年5月30日)参考資料2-3厚生労働大臣提出資料(資料編)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/05/dl/s0530-10i.pdf P5。国民年金保険料は、29,300円となるはずが20,500円にとどめられるとの試算でした。
*5 厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第4公的年金制度の歴史」https://www.mhlw.go.jp/stf/nenkin_shikumi_04.html
*6 厚生労働省第7回社会保障審議会年金部会(2008年4月22日)資料2 P7 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/04/dl/s0422-7d.pdf


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